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診療科・部門

臨床工学部

当科の特色・概要

臨床工学部について
臨床工学部

医療の高度化と専門化に伴い生命維持装置を含む医療機器は複雑化しております。それらを操作する上で高度で専門的な知識と技術が必要となります。この医療機器を医師の指示の元、操作・管理・保守を行う職種が我々臨床工学技士です。京都岡本記念病院 臨床工学部は部長1名、副部長1名、課長1名、主任6名、臨床工学技士29名、クラーク1名の総勢38名で構成されています。主な業務として、心臓血管外科支援業務(人工心肺操作、ステントグラフト内挿術サポートなど)・手術室関連業務(術中ナビゲーションシステム操作、眼科業務、スコープオペレーター業務、ダヴィンチ業務など)・集中治療業務(ECMO、CRRT、IMPELLA操作・管理、急性血液浄化業務など)・デバイス業務(CIEDs植込み術サポート、ペースメーカー外来支援など)・アブレーション業務(3Dマッピング操作、Lab操作など)・血液浄化業務(血液浄化センター業務、おかもとクリニック業務など)・カテーテル業務(CAG、PCI、EVT、脳カテなど)・呼吸療法業務(RST、人工呼吸器導入、SAS外来など)・内視鏡業務(術者介助業務、スコープ洗浄、管理など)・高気圧酸素療法業務・医療機器管理業務などと多岐に渡ります。また、医師のタスクシフトに関しても積極的に取り組んでおり、スコープオペレーター業務においては365日オンコール体制で対応しております。各部門に専門的知識をもつ臨床工学技士を配置し、安全な医療を提供することを最優先に業務を遂行しています。教育方針としては、「複数の専門性の獲得とプロフェッショナルの育成」です。臨床工学部におけるプロフェッショナルとは、高い専門性を持っていることはもちろんですが、加えて「状況に応じた臨機応変な対応ができる」「臨床工学技士として向上心・モチベーションを高く持ち続けられること」「多職種と良好なコミュニケーションの構築」「広い視野を持って臨床業務に取り組める」ことが条件と考え人材育成に取り組んでいます。また臨床業務の教育に関しては、各部門に部門役職者を配置しており、部門役職者が中心となりスタッフ教育・指導を実施しています。新人スタッフの教育は、プリセプター制および教育チェックリストを採用することで、相談がしやすい環境および教育の進捗が共有できる環境の構築に努めています。専門性を高める活動の1つとして学術活動にも積極的に取り組んでおります。

スタッフ・体制

スタッフ
2023年4月現在
 部長 1名
 副部長 1名、課長 1名、主任 6名
 臨床工学技士 29名、クラーク 1名
所属学会
  • 日本臨床工学技士会
  • 日本集中治療医学会
  • 日本体外循環技術医学会
  • 日本人工臓器学会
  • 日本透析医学会(施設会員)
  • 日本呼吸療法医学会
  • 日本医工学治療学会
  • 日本不整脈学会
  • 日本アフェレーシス学会
  • 日本急性血液浄化学会
  • など
取得資格・認定
  • 臨床検査技師
  • 診療放射線技師
  • 内視鏡関連専門臨床工学技士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 体外循環技術認定士
  • 透析技術認定士
  • 医療情報技師
  • 臨床ME専門認定士
  • 植込み型心臓デバイス認定士
  • 不整脈治療関連専門臨床工学技士
  • 医療機器情報コミュニケータ
  • 心血管インターベンション技師
  • 透析技能検定2級
  • 医療安全管理者研修修了
  • 医療ガス安全管理者
  • 臨床高気圧酸素治療装置操作技師
  • 日本DMAT隊員

業務・活動

心臓血管外科関連業務
 当院では、人工心肺業務には臨床工学技士免許と体外循環技術認定士の資格を有するスタッフを含んだ2名以上で人工心肺操作の他、心筋保護液供給装置や自己血回収装置、人工心肺記録、その他周辺装置の操作をしています。またハイブリッド手術室でのステントグラフト術においてデバイス介助も行っています。
 毎週、心臓血管外科・麻酔科・手術室看護師、理学療法士との合同で術前カンファレンスを行い、疾患及び術式、注意点、手術進行の流れ、必要物品の確認等をスタッフ間で共有し、当日に臨みます。手術後はデブリーフィングを行い当日の症例を振り返ります。
 また人工心肺業務従事者は3年間でのラダー教育を経て体外循環技術認定士取得を目指しており、学会参加や院外発表にも力を入れています。
ステントグラフト内挿術清潔介助人工心肺操作
手術室関連業務
 当院の臨床工学科の手術室業務では、内視鏡用ビデオカメラの操作、手術支援ロボットの機器設定、ナビゲーション業務、眼科業務をメインとして行っています。またその他に下肢静脈瘤に対するラジオ波焼灼術(RFA)や整形外科での自己血回収装置の操作・管理も行っています。

内視鏡用ビデオカメラ操作
 令和3年法令改正により臨床工学技士の新たな業務範囲として、「手術室で生命維持管理装置を用いて行う鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持及び手術野に対する視野を確保するための当該内視鏡用ビデオカメラの操作」が加えられました。当院では執刀医や介助医が術中操作に専念出来るようスコープオペレーター業務を行っています。365日、緊急対応できるようにオンコール体制をとっています。
手術支援ロボット
 手術支援ロボットとは、内視鏡手術を支援するシステム「da Vinci Xi(ダヴィンチXi)」を用い、医師が遠隔操作で手術を行うものです。技士はダヴィンチの設置、設定、術中の装置の監視、トラブル対応等を行っています。
内視鏡用ビデオカメラ操作手術支援ロボット業務da VinciXi
ナビゲーション
 耳鼻科、脳神経外科でのナビゲーションシステムでは、術前CTやOアームを用いた術中のCTの画像に基づきリアルタイムで情報を術者に提供することで、より安全に手術を進めることができます。臨床工学技士はナビゲーション装置への画像の取り込み、3D画像の構築、術中のナビゲーション装置の操作等を行っています。
眼科
 白内障、硝子体手術では水晶体や硝子体を切除する専用装置が使用されます。当院では装置のセッティングや術中操作を臨床工学技士が行っています。
ナビゲーションシステム脳外科ナビゲーション、眼科業務
脊椎術中ナビゲーション
カテーテル関連業務
カテーテル業務
 当院のカテーテル室は3室あり、2室はバイプレーンの放射線装置を備えています。業務としては心臓・下肢虚血、脳・腹部カテーテル、シャントPTA等行っており、臨床工学技士は医師の指示のもとにイメージング(IVUS,OFDI,OCT)の操作や物品出し、ポリグラフの操作等を行っています。またローターブレーターやダイヤモンドバック、レーザーアブレーション(ELCA)などの特殊機器の操作も行っています。また重篤な症例ではECMOやIABPやImpellaといった補助循環装置の操作も行っています。
心臓カテーテル業務Impellaエキシマレーザー
アブレーション業務
 カテーテルアブレーション治療では、心内電位記録装置や3Dマッピングシステム、心臓電気刺激装置、高周波通電装置など多くの装置を必要となり、これらの操作および管理を臨床工学技士が行っています。
不整脈の解析や安全な治療のため、医師と連携し業務を行っています。
アブレーション業務アブレーション業務
TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)業務
 TAVI(transcatheter aortic valve implantation)とは、心臓以外の病気を抱えていたり、体力が低下したりしていて手術に耐えられないような大動脈弁狭窄症の患者に対する心臓カテーテル治療になります。臨床工学技士は、手術中に患者の状態が急変することもあるため患者の循環をサポートするための補助循環装置や人工心肺の準備、操作管理等を行っています。その他にも治療に必要な物品を術野に出したり、弁を留置する際に必要となるデリバリーシース(留置弁を心臓まで運ぶための管)に留置弁をセットするデバイスの準備を行っています。TAVI治療がスムーズに進行するよう、素早く正確な準備を心がけています。
TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)業務TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)業務TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)業務
内視鏡業務
 当院の内視鏡センターでは、検査・処置室が3部屋と透視検査室が1部屋、合計4部屋で稼働しています。内視鏡センターでの臨床工学技士の活躍は多岐に渡り、治療の介助~機器管理まで行っています。日々の検査から治療まで医師・看護師と共に安全な検査治療を目指しています。
緊急対応のため、365日オンコール体制をとっています。
検査
 上部消化管内視鏡検査及び、超音波内視鏡検査などがあり、内視鏡カメラ使用前後の点検及び、検査介助、カメラの洗浄を行っています。
内視鏡検査内視鏡検査
治療
 早期癌に対する粘膜下剥離術や胆管結石除去などを行っており医師の指示のもと治療の介助や機器操作、カメラの洗浄を行っています。
 また、救急指定医療機関である為、緊急症例にも対応しています。
 主に…上下部消化管出血・異物除去・イレウス管挿入・軸捻転解除・ESD・ERCP・EMR・EIS・EVL・経皮的ドレナージ術・マグネット吻合術・内視鏡的壊死組織除去術等
内視鏡治療介助業務
気気管支内視鏡検査
 感染症検査・癌の確定診断などを行っています。また、各病棟に出向き、貯留分泌物の回収や異物除去、気道熱傷などの観察も行っており救急分野にも参加しています。
内視鏡治療介助業務
デバイス業務
 デバイス業務では、心臓植込みデバイスの植込み術・交換術の立会いやペースメーカ外来でのチェック、MRI撮影時や電気メス等を使用する手術での立会い、一時的体外式ペーシング装置を使用した入院患者に対してのラウンドなどを実施しています。当院ではペースメーカに加えてICD、CRT、S-ICD、リードレスペースメーカなど、さまざまな種類の植込みデバイスを扱っています。
 また遠隔モニタリングの導入も積極的に行い、デバイスのトラブルを早期発見できるよう管理を行っています。医師と連携して心臓植込みデバイス患者への最適医療を施せるよう努めています。
ペースメーカ外来ペースメーカ植込み術中
血液浄化業務
 血液浄化センターにおいて、透析機材の準備、プライミング、透析液の検査、シャント穿刺、透析中のバイタルと点検、返血操作などを行っています。また、検査データに基づいた透析条件の提案、穿刺困難な患者さんにはエコー下での穿刺、透析装置に関する保守点検、透析液・透析用水の水質管理などを定期的に実施し、他職種と共同し安定でより質の高い透析治療を提供できるように業務を行っています。ベッド数30床を朝・午後・夕と区分しながら外来と入院の患者を治療しています。当院は災害拠点病院でもあり近隣の透析患者を受け入れるため、専用倉庫には3日分120人分の緊急透析医材を管理しています。災害時に安全かつ迅速な対応ができるに、臨床工学技士が管理・選定しています。血液浄化センターでは主な業務は血液透析ですが、血漿交換療法(PE)、血漿吸着(PA)、二重膜ろ過血漿交換療法(DFPP)、顆粒球吸着除去療法(G-CAP)、胸水・腹水ろ過濃縮再静注法(CART)等にも対応しています。
血液浄化センターエコーガイド穿刺
呼吸療法業務
呼吸療法業務
 人工呼吸器とは呼吸を人工的に管理するための医療機器で呼吸不全の患者に使用します。 当院では臨床工学技士が人工呼吸器の急性期から慢性期に渡る臨床支援業務に加えて毎日 病棟を巡回し動作点検を行っています。 この巡回は事故防止の観点からも重要な業務となっています。また RST(Respiratory Support Team:呼吸サポートチーム)に参加し医師、看護師だけでなく多職種と意見交換を行い最適な呼吸管理を患者に提供できるように努めています。 人工呼吸器の安全な管理には、多職種との連携が必要不可欠であり、多職種に向けての勉強会にも力を入れています。
呼吸器ラウンドRSTラウンド
SAS業務
 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは睡眠中に呼吸が止まる事で無呼吸を起こす病態です。 SAS の治療として持続式陽圧呼吸療法(CPAP)が挙げられます。気道の閉塞で SAS になってい る場合には CPAP での改善が見られます。CPAP を使用するとその風圧により気道の中にスペー スが確保され、やわらかい組織を強制的に押し開きます。すると、鼻でスムースに呼吸をする ことが出来るようになります。 当院の SAS 業務では、検査結果から睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP の導入、解析を行っています。また、治療方針の提案をする事で、患者様が快適に継続して治療を行えるよう努めています。
集中治療業務
 岡本記念病院の集中治療室(ICU)と高度治療室(HCU)では、患者様の体温・心拍数・呼吸数といった生命兆候を監視するモニター機器や、呼吸を補助する人工呼吸器、透析に代表される人工腎臓や人工肝臓、心肺機能を補助する体外式膜型肺(ECMO)といった生体の機能を代行する機器が使用されます。心臓の機能が著しく低下した時には大動脈内バルーンポンピング(IABP)や経皮的補助循環カテーテル(Impella®)といった補助循環装置で心臓の仕事を補助する装置なども使われ、その操作や管理には専門的な知識と技術が必要とされます。臨床工学技士は、生命維持管理装置や医療機器の専門職として国家資格が与えられています。
 臨床工学部の集中治療業務に携わる部員は、集中治療室の医師・看護師やその他のコ・メディカルと協力して集中治療室で集学的治療を受けられている患者さんに安全で質の高い医療が提供できるように日々取り組んでいます。
急性血液浄化業務CRRT
おかもとクリニックでの業務
 「おかもとクリニック」は、京都岡本記念病院の関連施設として人工透析を行っているクリニックです。
 臨床工学技士の業務として日々の機械操作の他に、質の高い透析を行うために業務ごとにチームを分けて専門性の高い管理を行っています。
 シャント管理チームではシャントエコーを積極的に行いシャントマップの作成をしています。シャントマップをベッドサイドに配置しておくことで、スタッフが穿刺時に詳細な情報を把握出来る環境を整えています。また、シャントトラブルの早期発見にも役立てています。
 透析効率チームでは、毎月の透析前後の採血データによる透析効率を評価しています。膜面積や血流、透析時間を調整しつつ、全患者の平均Kt/V 1.5を達成しています。また、クリアランスギャップをもとにシャントの状態も同時に評価しています。
 スタッフ教育にも力を入れており、慢性透析についての知識や技術の向上に努めています。
シャントエコーシャント穿刺
ME機器管理業務
 臨床工学部では医療機器の一元管理を行っており、保守・管理業務以外にも医療機器の選定や再配置等を行い、院内の医療機器の適正使用に取り組んでいます。
 医療機器保守管理業務では臨床工学部全スタッフが、院内にある約2000台の医療機器の点検・管理を行っています。専用の管理システム(Me-Tomass)を使用しており、RFIDタグとバーコードで医療機器の配置場所や点検内容などを一括管理しています。また、院内やドクターカーで使用されている様々な医療機器を、安全に使用できるように日常点検・定期点検を行っています。点検器材も各医療機器に最適な点検を行うため充実しています。
 新規医療機器導入時には、適切な使用をして頂くために、勉強会・説明会を臨床工学技士が行っています。
ME機器中央管理
高気圧酸素療法業務
 当院では、2021年度から高気圧酸素療法を導入しており、治療装置である第1種治療装置(1機)を配置しています。高気圧酸素療法とは、大気圧よりも高い気圧下状態にし、通常よりもより高濃度の酸素を供給することで全身の酸素化不足や治癒の促進を図る治療法です。
 臨床工学部ではこれらの治療実施及び安全管理を日々行い、患者さんへのより安全な治療を実施できるよう日々取り組んでいます。治療中はTVや音楽を利用し、少しでもストレスなく治療ができるよう心掛けています。
HBO図解