先輩の声

看護師(認定看護師)

【脳卒中リハビリテーション看護認定看護師】 村上 洋子

今の自分が「自分らしく」あるために

私は看護師になって5年間、整形外科病棟に勤務していました。そこでは、当たり前のように患者さんと会話ができ、ほとんどの方が「入院時より回復して」退院されていました。当然、高齢化社会の中で認知症などからコミュニケーションがスムーズに取れない方もいらっしゃいましたが、絶対数としては少なく、家族の方も「認知症があるけど入院大丈夫かしら」など患者さんの意識状態の変化について受け入れておられることが多くありました。

その後、脳神経領域の病棟に転属になり、「意識」と「神経(感覚や運動機能)」の障害を受けるということがどのようなことなのかを目の当たりにし、本人だけでなく家族への身体的・精神的な混乱と負担についてどのように対応すればいいのか、患者さんやその家族より若年者の自分にどんな声かけが許されるのか、とても悩みました。
そんな中、当時の脳神経外科の医師や病棟の先輩方の知識・対応から脳神経領域について学びながら、患者さんや家族の望むところは何か、その先に何を提供できるのか、看護師としてできることはどこまであるのかと考えるようになり、認定看護師を目指すに至りました。

資格取得に関しては、病院より金銭面でのバックアップをいただき、なにより上司の方の精神的フォロー、病棟スタッフの理解などを得て、半年に渡る教育課程を過ごし2020年に認定看護師の資格を取得しました。

脳卒中を発症する患者さんは増加傾向にあり、若年化も進んでいます。ひと言に脳梗塞や脳出血と言っても脳が傷つく場所によって障害はさまざまで、後遺症を抱える方も少なくありません。脳卒中リハビリテーション看護とは、患者さんが脳卒中を発症したその時から、治療・日常生活動作の援助等を行う急性期、症状が安定してリハビリにより機能回復を臨む回復期、症状が安定して日常生活を送る維持期と、人生に沿って続いて行きます。その長期的で全人的な営みのためには、医療における多職種がチームとして関わっていく必要があります。その仲立ちとして働きかけることで、脳卒中を発症した患者さんとその家族が社会生活の中で「自分の望む形での生活」ができるよう、またはなるべく「理想の形に近づける」よう、患者さんや家族と一緒に考えていきたいと思います。