先輩の声

看護師(認定看護師)

【認知症看護認定看護師】 仕明 真理子

認知症を持つ方のこころの声を受け止めたい

高齢化が進み、認知症を持つ方が増えています。平成24年時点で65歳以上の高齢者のうち認知症の人は約15%で462万人、認知症になる可能性がある軽度認知障害の高齢者も400万人いるといわれています。65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍になる計算です。ここ数年、テレビや雑誌などで取り上げられる事も多く、「認知症」という言葉も広く知られるようになりましたが、同じ症状でも1人1人合った方法が異なるため、対応が困難な場合も多くあります。当院でも認知症を持つ入院患者様が増えてきています。そんな患者様により良い看護が提供できるよう知識を得たいと考え、認知症看護認定看護師を目指しました。病院の協力体制もあり、7ヶ月間兵庫県看護協会で学び、資格を取得する事ができました。

病棟で勤務をしながら認知症看護を広めてきましたが、2016年病院が新築移転し私の勤務場所も変更となりました。現在は、認知症看護の専従看護師として院内をラウンドしています。患者様と関わる中で、気付きや学びが多くあり悩むこともありますが、毎日が楽しく充実しています。

認知症の方を支えるためには、病院内だけではなく地域全体で支えることが大切になってきます。そのため、認知症を知っていただくために啓発活動を行ったり、ケアマネージャーや相談員の方たちと連絡を取り合ったりもしています。

認知症看護を実践する上で大切な事は、

  • 認知症という病気に焦点を当てるのではなく認知症を患いながらも生活している“人”に焦点を当てる。
  • 認知症を抱えて生きる方の身体・心理状態に加え、生活そのものを理解し、その方の今ある能力を最大限に活かす。
  • 今まで行ってきた生活環境や習慣を大切にしながら、日常生活の援助を行う。
  • 地域全体で支える。

ことだと思います。

実現させるためには、自分だけが専門性の高い看護ができるのではなく、実践を言語化し、部署全体、病院全体の誰もが質の高いケアができるように伝えていく必要があります。勉強会だけでなく自らも実践モデルとなり、認知症を抱えて生きる人への看護を拡げていきたいと思います。

優しさ(心理面だけでなく今までの生活に近い環境を整えることにおいても)をシャワーのように降り注ぎ、認知症の方が安心して入院生活が送れるよう、また退院後地域でも安心して生活できるよう支援していきたいと思います。認知症の方やそのご家族の笑顔が増え、看護師の笑顔も溢れるような認知症看護を提供していきたいと思います。